オタク自省録

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読書記録 オーダーメイド殺人クラブ

筆者は男である。故に女が好きである。

この自明の公理から導き出せることは、筆者は女のためならなんでもする、ということである。例えばおススメされた本を拝読するとか。

そんな不純かつ色欲的動機から手に取った一冊が本日紹介する本、『オーダーメイド殺人クラブ』である。

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主人公であるアンは、所謂リア充であり、スクールカーストの上位層に位置する女子中学生である。しかし実は誰にも言えず自分の中に抑え込んでいる猟奇的趣向があり、それを隠しながら、毎日のように敵味方がすり替わる女子中学生を演じている。ある日アンは、所謂陰キャカースト最底辺の徳川という少年が、彼女と同等以上の猟奇性を持つことを見つけ、彼に彼女自身の殺人計画を依頼する。

 

この作品の褒めるべきところは、物語の始まりが主人公アンのクラス内疎外から始まるところである。中高生にありがちな、カースト最上位の機嫌によって唐突にハブられ、都落ちするあの現象だ。物語のなかで、カースト上位の3人の立ち位置が何度も異なったかたちで入れ替わる。しかし数ある教室内社会関係の中で、冒頭に主人公が最下層へ落とされるシーンを選ぶところが上手い。一気に女子中学生的ヒエラルキーの中へ読者を没入させる。

それから、主要人物の一人、猟奇的陰キャである徳川の描かれ方も興味深かった。この物語は一貫してアンの視点で描かれていくが、そこから見える徳川の素性は、生物を殺めるのが好きで、男女の関係や学校生活に興味がなく、自分の趣味をとことん掘り下げるオタクである。思春期の様相が全く見えず、どこか中学生離れした達観を持つ人物のように受け取れる。

ラノベならともかく、こういった心情描写を重視する小説において、このように人間や社会を達観するキャラクターがむやみに描かれることはない。実際、徳川以外の中学生たちは皆、恋に部活にスクールカーストに非常に敏感であった。なのに徳川だけが例外である。徳川は少年Aのように、一般的中学生の範疇を逸脱した精神を持つ異常者なのかと、最後まで読者に思わせることが本作最大の叙述トリックだろう。敢えて詳細は伏せる。ただ、徳川という人物の描写はアンの主観でのみ描かれており、それはおそらく著者辻村美月氏が意図的にしたと思われる。

 

また、筆者が手に取った本の解説は筋肉少女帯大槻ケンヂ氏によるものであった。彼は本作品を中二病どうしの初恋はめんどくさい』と一蹴している。そう言われると確かにそんな作品であるような気もする。読み手によって作品から受け取る色合いは全く違うのだなぁと気づかされたところでもあった。

 

余談だが、最近面白い本ばかり読んで不真面目なレビューができないことにもどかしさを感じている。しかし現在読み進めている本はここ最近の良著を消し炭にするレベルのB級クソ小説である。数十ページ読んだだけで突っ込みどころが脳天に降り注ぎ、その総量は一生涯の記憶容量を凌駕するとさえ感じる。次回の読書記録が待ち遠しい。