オタク自省録

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読書記録 ジュラシック・パーク

この度、筆者が敬愛するブロガー(?)から薦められた名作を拝読させていただいた。上下巻あり、合計800ページ以上の長編小説であったため、読み終えるのに多少手間取ったが、言わずと知れたビッグタイトルを紹介する。

 

ジュラシック・パーク

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ジュラシックパークとは、孤島に恐竜を蘇えらせて創り上げた動物園的テーマパークである。アメリカの某企業が最新遺伝子学を駆使し、化石から恐竜を蘇らせたそのパークのお披露目会に呼ばれた主人公たち。しかし、ジュラシックパークには多くの欠缺が潜み、大自然全てを管理下に置くことは不可能のように思われたが……

 

ジュラシックパークと聞いて大一に想起される媒体はやはり映画だろう。しかしながら、筆者は映画ジュラシックパークを未視聴である。ユニバのアトラクションと世俗常識で『恐竜が出てくるもの』程度の認識を得ていたにすぎない。そんな筆者が読破後にまず感じた印象は『冗長』であった。

というのも、上下巻あるうちの半分、上の内容は、明らかにかませ犬である科学者や弁護士ジュラシックパークを褒めたたえ、主人公側がパークの不備や不明点を指摘し続けるだけの長大な導入部分だからである。アメリカ小説らしい、疑いの余地のない悪役にデカい顔をさせておき、最後には天誅を下すスタイルである。

 

下巻になると、ジュラシックパークが崩壊しだし、筆者をはじめとする一般ジュラシックパーク未視聴者が想像するようなダイナソーパニックが起こる。ここにおいて客観視ができない科学者リスクヘッジを知らない経営者などが死亡する。だいたいのパターンとして、腹部をかぎ爪で引き裂かれ、腸があらわになる。死亡描写の大半で腸が登場するあたり、著者はソーセージが食べたくて仕方がなかったのだろう。

主人公たちがなんだかんだで窮地を脱するところで小説は幕を閉じる。本作品には、人間の自然支配の不可能性、科学技術の限界、生命倫理的問題などのメッセージが込められているようである。特に、筆者が最もお気に召した登場人物である数学者マルカムのセリフから直接的に読み取れる。

マルカムは数学者という肩書にして、カオス理論、バタフライエフェクト、地球生物学など多岐にわたる知識を含有しており、一貫してジュラシックパークに批判の姿勢をとっている。小難しい知識を並べて周囲にウザがられる典型的理系の老人なのだが、本作品が出版された1990年という年においてこれだけの理論を持ち上げたのは著者の手腕というべきではないだろうか。今でこそ聞きなれた科学的単語であるが、当時では学術レベルの単語であったのではなかろうか、などと憶測する。

 

総評して、映画で化けた作品なのではないか、といったところである。そもそも洋書の日本語訳なので、原書を読んでこそ理解できる面白さを踏まえていない一面的なレビューである。原作である本小説が高い評価を受けたであろうポイントは、考古学、数学、遺伝子生物学、幾何学、地質歴史学などの分野から詳細な描写を行っているところだろう。SF好きなら「ふむふむ」と読み進められると思う。特に、数学者マルカムのセリフなどは。