オタク自省録

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読書記録 人体工場

最近やたら本を読むようになった。テスト前だからといってクソ居酒屋のシフトを減らしたものの、そうして確保した時間が勉学に利用されるはずもなく、あまりに暇なので読書に走ったという経緯である。いま、『暇』と供述したが、言うまでもなく読書より優先してすべきことは山積している。

 

先日ブックオフで適当に書籍を漁っていたところ、なんとなく興味をそそる表紙と表題を見かけたので購入してみた。

 

『人体工場』

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所謂『医療ミステリー』というジャンルの小説である。著者の仙川環氏のプロフィールを覗いたところ、大阪大学大学院医学系研究科という華々しい学歴がこんにちはしていた。こちら、ゴミオタク大学ゴミオタク学部ゴミオタク学科卒業見込みである。よろしく頼む。

物語は主人公が治験のアルバイトを終えたところから始まる。体調に異常はないものの、尿から異常な値のタンパク質が検出され、どうやら投与された薬が怪しいと訝しむところから始まる。治験の主催病院を調べてみるも、存在しない架空の病院であることがわかり、主人公と同じく治験の被験者である女性と、大学病院に勤める女医との三人で事態の真相を探っていくこととなる。

 

読み終えた後に『面白かった』と率直に思った。ひとつ前にとんだ駄作を掴まされた反動もあってか、2時間ほどですらすらと文庫本一冊を読み終えてしまった。本作品はミステリー小説らしいミステリー小説で、つまり登場人物の心情より話の展開を重視した構成になっている。恋愛やら友情やらといった要素がないぶん、非常にテンポよく物語が展開され、読んでいて飽きないものだった。

面白かったのでネタバレを避けて書くが、タイトルでもある『人体工場』とはどういう意味なのか、物語を追っていくにつれて見え隠れするのも良かった。また、最後には倫理的問題を含んだ内容になっていき、命の価値と人としての尊厳を天秤にかけるような、答えのない問いを読者に投げかけてくるミステリーとしての面白さだけでなく、強いメッセージ性を内包する作品であるという点も評価が高い理由である。マッドサイエンティストが人体実験して暴れまわるだけの医療ミステリーとは一味違うし、そういうのはアマゾンプライムビデオで十分である。

 

敢えて批判を加えるのであれば、グロテスクな要素が皆無といっていいほど少なく、未知の薬物投与による副作用や得体のしれない医療組織のようなものへの恐怖が描写しきれていないことが惜しまれるところであろうか。しかし本作品がホラーではなくあくまでもミステリーとして創作されたものであれば、そう躍起になって指摘するポイントでもない。総評して非常に高い評価である。

 

想像以上に面白かったので、ふざけたレビューができなかった。つぎは50ページ目でゴミ箱に投げ捨てたくなるような衝動を与えてくれる奇書を記録したい。