週刊文盲 オタク自省録

オタクのオタクによるオタクのためのブログ

読書記録2 天使は奇跡を希う 

アマゾンプライムビデオに目覚め、クソ以下と知りながらB級映画を見漁る日々が続く。二時間に渡るバッファローの脱糞を観終わった後に俺の心に残るのは、大学生活最大の時間の浪費をここで行っているという背徳感のみである。これもまた経験。

SAWシリーズの視聴を始めたのもそれが原因である。1~7まであるこのシリーズ、アマゾンプライムビデオに1が無いのはなぜなのか。それも、1は初代ということもあり最も評価が高く、むしろ2以降はスプラッター映画の様相を呈しすぎて、もはやその手のオタク以外の視聴者を排斥しているというのに。金玉から声が出そうになるとはまさにこのことである。糞を見るのを楽しみにしていたのに流血を目の当たりにさせられる俺の身にもなってほしい。それでも怖いもの見たさで7まで見終わってしまった。毎日が血の日曜日である。

 

それはそうと(SAWとかけている素晴らしいギャグ)本の紹介でもしたい。本日の一冊は『天使は奇跡を希う』である。

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またラノベみたいなのが出てきたな。と思うことなかれ。こちらは文芸春秋に連載され書籍化に至った優秀な新海誠リスペクト作品である。まずこの表紙をご覧いただきたい。高校生の男女とSF。どう考えてもyour nameに感化された二次創作だと思っていたら、どうやら『君の名は。』のキャラデザを担当した人が描いたものらしい。確信犯である。その新海誠への信仰心は作中にも表れ、なんとこのメガネの男子高校生の名字が新海である。何だお前。

仮にも新海誠の母校であるゴミオタク大学に通うオタクとして、このような横暴を見過ごすわけにはいかぬ。そんなわけで感想だが、感動した。

 

ネタバレを含めて軽く内容を紹介すると、事故死した主人公を蘇らせるために幼馴染の天使女子高生が悪魔と契約して30日間の闇の遊戯に挑むといったものだ。遊戯の内容は、自分(天使女子高生)に関するすべての記憶を消したうえで主人公の事故死前の時間軸に戻り、30日以内に主人公の記憶を取り戻すことができれば主人公を生き返らせてやる。といったものだ。いろいろと突っ込みたいところはあるが、その辺を強引に推し進め、謎の感動ですべてをごまかしきるあたり、新海誠の模倣をしていることが伝わってくる。

トーリーが進むと、なんとなく主人公たちに記憶が戻り始め、幼馴染の一人、巨乳女子高生が記憶を取り戻し、悪魔につっかかるようになる。そこで悪魔が囁いた一言。

 

「あなたが新海様の記憶を蘇らせても無効となりますので」

 

俺は底辺とはいえ法学徒である。この一文に強烈な違和感を覚えるのは当然の結果であった。ここで闇の遊戯のルールを再確認する。

 

・30日以内に天使女子高生が新海誠の記憶を取り戻すのが勝利条件

・天使女子高生が勝った場合、新海誠は復活しyour nameの制作を始める

・天使女子高生が負けた場合、天使女子高生の魂を悪魔に捧げる

 

これが契約内容である。そして契約の『無効』とは何を意味するのか。悪魔の用いる契約の法源がどこにあるのか知らないが、人間である天使女子高生と契約を結ぶ時点で、人間(日本人)の法規を基準とした契約がされているはずである。日本の民法の『無効』の意味するところは「最初から当然に効力がない」である。つまり、この契約が無効となっても、新海誠がyour nameを制作する未来が失われ、ラッドウィンプスの第二最盛期が築かれなくだけで、天使女子高生の魂は奪われないのである。

通常、契約違反に対して相手方にデメリット(自分にメリット)を付したいのであれば、債務不履行に基づく損害賠償請求が行われる。契約自由の原則によって取り決められた、明らかに公序良俗違反の上契約だが、悪魔がどうしても天使女子高生の魂が欲しく、魂を奪うことを理由として恐喝(本来なら民法96条により無効だが)したければ、上契約の債務不履行責任として閻魔大王に直接強制履行を申し出ればよい。あるいは損害賠償請求である。

 

ちなみに『無効』の文言を『取り消し』に変えた場合、『取り消し』の意味は「遡及的無効」であるから、契約がとりおこなわれる前の時間軸に戻したうえで天使女子高生が生活を送るだけである。どちらにせよ、新海誠の死を受け入れれば天使女子高生に被害はないわけだ。まさか、your name見たさに女子高生が魂を捧げると思っているわけではあるまいな。

そんなわけで、契約の無効の可能性を示唆したところで悪魔側には何のメリットも無い。ここまでくると悪魔は本当に天使女子高生の魂を奪取したかったのか甚だ疑問に思えてくる。悪魔はいったい何をしたかったのか。俺なら巨乳女子高生の乳を揉みしだく権利を担保に契約を締結する。

 

以上が民法総則の視点からみた似非法学分析である。俺は以前にも民法総則の視点から童貞の法的効力について分析を加えたことがある。何故民法総則に限り、色眼鏡で物事を見るのか。理由は俺が民法総則以外の法律を知らないからだ。ゴミオタク大学の土を踏んで早3年。俺はいまだに、一回生と同レベルの法的知識しか持ち合わせないわけである。欠缺だらけの似非法学を弄ぶ前に、もっと別の建設的な学問を学ぶべきである。

そのような反省を俺に与えてくれた一冊であった。