週刊文盲 オタク自省録

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オタクのカクテル入門 0

先日、俺が慕う偉大なる大先生から唐突に連絡が入った。

「今度みんなで飲みやるから地元帰ってきてくんない?」

『飲み』という言葉に脊髄反射してしまう私立文系ゴミ大学生の俺といえど流石にこれには躊躇った。というのも、地元に帰省するのに3万円の交通費がかかるから。宴会代はすべて先生が出してくれるであろうけども、それにしても3万円はデカすぎる。重ねて俺は現在金欠である。忌々しき風疹の成因インターンドロップアウトしたことにより、そこで得られるはずの16万の報酬金が消失。まさに八方塞がりだった。

かくして俺は地元への帰省を諦めたはずだったが、やはりノリと流れに身を任せることの世界的権威というべきか。気がつけば俺は中国地方の一角へ羽ばたいており、そのために捻出された金は俺の家賃引当分であった。来月の家賃どうしよう。

 

飲み会当日の昼前には地元の空港に着弾し、現在一瞬の気の迷いから染めてしまった赤髪、もといお花畑ヘアーのために、周囲からの冷たすぎる視線を俺という焦点に収束させることに成功した。早くも地元のスター気取りである。ドラゲナイと言ってはならない。

集合場所に赴くと、唐突にバレーボール大会が始まった。大先生のもとで大学合格を目標に刻苦勉励していた現役高校生たちと、そのOBたちが20名ほど集まった。なんだかよくわからないまま経験も然程ないスポーツをやらされたが、チームにバレー経験者を2名導入することで数の暴力を行使。医学部生および東大生のみからなる『チーム高学歴』私立文系お花畑アタックで見事粉砕し、優勝を果たしたりした。何をやっているのか。

2時間ほどの運動の後に焼肉大宴会に移動。普段の俺が執拗に主張を続けている『他人の金で焼肉が食いたい』を見事現実のものとすることができた。うまい肉を食いつつ、未来の女子大生に酌をとらせ、「高校生のうちに童貞は卒業すべきもの」だの「To LOVEるで一番生殖器に訴えてくるのはモモ」だの、有益なことがおおよそ一つも見当たらない詭弁を振りかざし、大学生を目前とした18歳の男どもに嘘八百を吹聴し続けた。一つだけ弁解しておくと、これは俺が悪いのではない。「先生(俺のこと)はいつ童貞卒業したんですか?」と喧嘩を売ってきた18歳男子が悪いのだ。俺の童貞喪失について他人に語ることなど何もないわけだから、かわりに何の役にも立たない猥談を展開してやった。場はおいに盛り上がった。男とはそういう生き物である。

 

さて、焼肉大宴会が終わり、ここからは俺達のNight Partyのお時間である。大先生の行きつけのバーに足を運ぶ現役大学生たち。先生のもとで学を積んだ生徒は総じて一般に難関大と呼ばれる大学に合格しているので、俺達の周囲に偏差値の揺らぎが生まれていた気がする。しかし我が地元が暗黒物質的揺らぎによって破滅しなかったのは、奴らの発する偏差値を下げ申し上げた俺の暗躍があったことを忘れないでほしい。

バーまで付いてきた参加者は10名ほどか。すき男の大先生によって開催された諭吉3人を優勝賞品としたダーツ大会で早慶上智をごぼう抜きしていい気になっていたら、最後にはイケメン医大生の魔手に敗れた。無念。この学歴の中で俺がアイデンティティを主張できる唯一のポイント『豪遊』を奪われてしまっては俺の立場はどこへ言ってしまうのか。非常に肩身が狭い思いをしつつ猥談などをした。

 

みながテーブルで飲み放題メニューの酒を片手に談笑している中、俺は見栄を張るべくカウンター席に移動した。実は見栄を張ったのではなく、せっかくバーに来ているのだから面白いお酒を嗜んでみようと知的好奇心をはたらかせたまでのことである。

「こんばんは。何を飲まれます?」

マスターの恍惚を呼び起こすような語りから、オタクのカクテル入門は始まった。