週刊文盲 オタク自省録

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オタクのガールズバー入門 2

ニャン吉はあっという間に酒を飲み干し、次の酒にうつる。負けじと俺もジントニックを空けて、カンパリソーダなどを嗜むこととした。

ニャン吉「Soaさん、カンパリ好きならカンパリをグレープフルーツとトニックウォーターで割ったものを飲むといいで」
俺「スプモーニかぁ。レシピ聞くと美味そうやな!」
ニャン吉「グレープフルーツとトニックウォーターで作るカクテルを◯◯モーニって言ってな、このレシピにハズレはないんよ」
俺「へぇ〜さすが元バーテンダーやなぁ!んじゃスプモーニお願いしていい?」
ルナ「ニャン吉さん詳しいな〜!スプモーニお願いしまーす!」

ニャン吉は高身長イケメンなだけでなく、元バーテンダーという経歴もあって酒に精通していて、こういう感じにオススメのお酒なんかを教えてくれたりする。「カンパリっていうのはハーブ酒でな、もともとは教会で病除けのために飲まれてたんよね」なんてイケメンに説明されたら女の子はコロッといっちゃうでしょ。俺がルナちゃんなら落ちてるね多分。

 

そんなこんなで、俺とニャン吉はルナちゃんとの会話とお酒を楽しんでいたんだけど、どうもこの場にそぐわない誰かが居座ってるような気がした。もちろん、うめちゃんのことである。入場したのは3名のはずなのにしゃべってる男は2人しかいない。お前それ一人金の無駄やで。

俺「うめちゃん飲んでる?」
うめちゃん「飲んどるよ」
ニャン吉「お前一杯目もまだ空けてないやんw」
俺「飲み放題なんやから飲まんと損やで!まぁとりあえずグラス持って!まま、とりあえず持って!」

ウェルカムドリンクを完飲させることに成功はしたものの、うめちゃんは一向に酒を飲まずルナちゃんと話そうともしない。これがついさっきまで「ガールズバー?ええやんいこいこ!w」とルンルン気分でスキップなんかしてた人間である。俺とニャン吉は「ハ〜うめカスつっかえw」「ほんまつっかえw」と笑いつつ、でもやっぱりうめちゃんに飲ませるのは面白いから、とりあえずテキーラショットを注文した。

 

ルナ「はい、テキーラショットです」
うめちゃん「なんで俺の前に置いてん」
ニャン吉「なんでって、えっ、うめちゃんが飲むんやろ?」
うめちゃん「いや飲まねえよw」
俺「えっ、飲まんの?ほんまに?ええの??」
ニャン吉「飲まんなら俺が飲むで?ええん?可愛い女の子に出してもらった美味しいお酒やで?」
俺「そんなん飲むしかないやろ!うめちゃんやっぱええわ。俺が飲む」
ニャン吉「Soaさん、それは良くないで。このお酒注文したの誰やと思ってんの?俺が飲むわ」
俺「いやいやニャン吉。そりゃそうだけども頼むから俺に飲ませてくれや!」
ニャン吉「んーせやな、ならルナちゃんに決めてもらおかw」

うめちゃんはテキーラを一飲み。その直後、逃げるようにトイレに駆け込んだ。なんかガールズバーっつっても、女の子と話すよりうめちゃんをいじりたおす方が楽しい気がする。こんなもんなん?ってニャン吉に聞いたら
「まぁ、うめちゃんは愛すべきバカやからな」
なんて答えになってない答えが返ってきた。

 

俺がスプモーニのおかわりを貰っているとトイレからうめちゃんが戻ってきた。ニャン吉は「モスコミュールのジンジャーエール抜き」なんていうただのウォッカロックを頼んでいたんだけど。これを見たうめちゃんは「メキシコーラのメキシ抜き」を頼んだ。「ただのコーラとかほんまうめカスw」「はーつっかえw」俺たちは散々煽ったけど、なんかほんまに辛そうだったからメキシ抜きのメキシコーラの注文を見過ごした。

ルナ「もうそろそろ時間やけど、延長とか……」
ニャン吉「あーもうそういうの、ええから。聞かんでや。延長で。」

ようわからんけど楽しいからええわ。

 

続いてゲームでテキーラを飲ませ合うこととなった。参加者は俺たち野郎3人とルナちゃん。カラオケで点数だして、カブという方法で決着つけるらしいけど、この時点でやれジンバックやれカシスビアと好き放題飲み倒してたから詳しいルールはあんま覚えてない。とりあえずうめちゃんに歌わせたかったことと、結果的に俺たち野郎3人がテキーラショットを同時に飲んだことは覚えてる。俺たちは本当にゲームに負けたんだろうか。

それからというもの、俺が東京から輸入した数々のゲームや、特に理由はないけどなんとなくノリでテキーラショットを飲み続けた。飲みサーで酒を飲まされることに慣れている俺は自ら胃の中のものを吐き出す術を覚えているので、頃合いを見てトイレにリバースしに行くわけだけど、どうもアルコールのペースが早すぎて胃の中全てを出し切ってもアルコールが回る。ただただテキーラと会計が積もっていくばかり。

ルナ「すごい!テキーラのチェイサーにメキシコーラって両方テキーラじゃん!」
俺「そう?こんなん(メキシコーラ)ジュースと変わらんで?全然大丈夫やわ」

大丈夫なはずがないのである。俺の食道と胃腸は悲鳴を上げ、嘔吐の衝動に駆られまくっている。息を吸うように見栄を張る、あるいは見栄を張らんと生きていけんのが男という生き物だということを皆さんにも理解していただきたい。

ニャン吉「そうそう、カクテルなんてアルコール入ってるかどうかわからへんからな。今まで飲んどったのはファンタやで」
俺「わかる。テキーラに比べりゃジュースでしかねえよな」

お酒はお酒なのである。女の子の前でいいとこ見せようと、しょうもない男たちの意地の張り合いが始まってしまった。ルナちゃんに「2人ともお酒強いんだね〜!」と言われる度に「ジュース」を追加注文する。そんなことを続けてたもんだから、酒にそんな強くない俺は言わずもがな、酒に強いニャン吉すらも流石にべろんべろんになり、何がなんだらわけわからん状態だった。


気づけば「まま、マスターも飲んで」と、男性のマスターみたいな人にもお酒を勧めたり「延長とかもう聞かんでや。せんわけないやろ?」と、最終的な料金がどこまで膨れ上がるか知れないような言動を遠慮なく口にしていた。それもそのはずで、当時の俺やニャン吉に通常の判断能力は無く、酒と女と無駄なプライドだけがぐるぐる回っていたと思う。男とは実に愚かな生き物だと思わざるを得ない。

一方うめちゃんはというと、二杯目のテキーラ以降死んだようにカウンターに覆い被さって、おそらく彼にとっては惨劇以外の何物でもないこのカウンターのコーナーから意識を飛ばしていた。そのくせ時たまむくりと起きては飲み放題のメニュー外のチーズ盛り合わせなんかを勝手に注文したりする。しかも当の本人は一口だけつまんでまた眠りにつく。ニャン吉曰く「Soaさんにお金出すのはええけど、うめカスが勝手に頼んだチーズ500円だけはどうも納得がいかん」とのこと。俺的にはその唐突かつ意味不明な注文で大爆笑できたからまぁ良しとしたい。

会計はニャン吉が全てやってくれた。もうお金の計算に回す脳の容量は無いだろうと思っていたけど、そこは流石男前、俺たちが全く気づかないうちに会計を済ませていた。後から聞くと実に5万円ほどの会計だったとか。でもあそこのガールズバーに何時間いたか全く記憶にないから、3人でこれが高いのか安いのかよくわからんわけないよね高いよねニャン吉ありがとう。

 

「ありがとうございましたー!」

 

現在時刻もわからんまま、俺たちは這々の体でガールズバーを後にした。ルナちゃんが扉の向こうから最後まで手を振ってくれていたことを覚えてる。さてこの酔っ払い3人で今からどうするか。