週刊文盲 オタク自省録

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【コラム】ナメクジでもわかる「神は死んだ」

人はなぜ学術的事象の解説記事を書きたがるのか。答えは簡単。「俺はこんなこと知ってんだぜ!すげえだろ!」がしたいだけなのである。無論俺も同じ。少しでも勉強というものに身を置いた人ならわかるはず。数学でも英語でもなんでもいい。とにかく他人がわからないことを自分が知っていて、その説明を声高にするってのは気持ちいいもんだ。高校時代まではそれをし続けて、凡そ友人という友人からウザがられていたであろう俺だけど、大学に入ってからは学とはほぼ無縁の生活をしていたからこの手のオナニーができなかった。

そんな俺であるが、つい先日『史上最強の哲学入門』なる本を読み終えたので久々にコラムをばと。その中で特にニーチェの思想を学びなおし、まあ見事今の俺のスタンスを言い表してんなぁと感心したので、今回はニーチェの話。

 

「神は死んだ」

っていう強烈なパワーワードを聞いたことがある人は少なくないだろう。これを言ったとされるのがニーチェ。結論から言うと、現代無気力社会に生きる俺たちの姿を100年以上も前から予測し、小馬鹿にした哲学者である。

「神は死んだ」というフレーズは、その言葉が独り歩きしすぎて、本来の意味というか、何を揶揄した言葉なのか知らん人が多いんじゃなかろうか。勿論俺もそんな知らんじゃった。受験の手段として学んだだけだからね。しょうがないね。

まあともかく、この言葉の意味を理解するにはまず、広く『哲学』というものの歴史を覗かねばならない。これを全部語り始めたら日が暮れるので概要だけざっくり書く。ちなみにニーチェはドイツの哲学者なわけだけど、基本的に西洋哲学史だから、ヨーロッパあたりのことを想定してね。

 

まずは古代ローマを想起してほしい。それは紀元前の話。貴族が台頭し、金持ちが強者とされた時代。力があるもの、金があるもの、頭がいいもの。それらが時代の『強者』として君臨していた。弱者は弱者でしかなく、その運命に従うことしかできなかった。

時は流れキリストが生まれる。隣人すら愛する彼の『博愛主義』は信者を集め、「たとえ弱くてもいいんだよ。右の頬をぶたれたら左の頬も差し出しなさい。みんな仲良くやりましょうね~」といった感じの、弱者も精神的な部分で救われることを解いた。これがユダヤ教の思想においては、精神的勝利としてもっと「精神的には勝ちました~ざまーみろ~~ww」的な感じで書かれてたりする。

そんなキリスト教が国教になる日が来ました。テオドシウス帝っていうローマの皇帝がキリスト教信者で、国の宗教にしちゃったわけですな。この瞬間が弱者と強者の転換点となるんだわ。つまり、「財力、権力がある強者」が偉いのではなくて「財力も権力もない弱者だけど、精神的に優れた人」が偉いとされる価値観になったわけ。この流れは今の日本にもあるのかな。どうかな。

西洋においては俺たち日本人では理解できないほど、宗教というものが重視されてるわけだから、この弱者でも偉い人はいる!みたいな価値観がずーーっと続いてきた。敬虔な信者は聖職者になったりしてたしね。けどヨーロッパでは宗教戦争だの教会の堕落だのと、宗教を道具として扱った卑しい行為が続くこととなる。

こうなると信者たちは思うわけだ。「あれ、キリスト教の教えに従ってても戦争は起こるし汚職は絶えなくね?弱者も救われるってホンマか工藤?」みたいな。おまけに産業革命以降は、卑しい身分とされていた『商人』たちが財力をつけてきて、社会的地位を上げている。

「もう神様なんて信用ならん!弱者はやっぱり弱者じゃねえか!!」

ここにおいてニーチェ「我々人類は、もはや神を信じることができない。人間が寄ってたかって神を殺したのだ」と言い放った。これが「神は死んだ」の真意というわけです。はい。

 

長かったね。それじゃ少しだけ補足を入れて終わりとさせていただく。

ユダヤ教を代表する「弱者でも精神的勝利が得られれば勝ちやで!」みたいな価値観。ニーチェは、この宗教的価値観は弱者のルサンチマンが生み出した心の支えでしかないとした。『ルサンチマン』ってのは嫉妬とか怨恨みたいな意味。財力、権力のあるものに虐げられても「彼らは金や権力でしかイキれないかわいそうな人だ」と思うことでユダヤ人は絶望しないでいられた。

「でもこれってホンマに良いことなんか?金や権力が欲しい!って思うのが人間のあるべき姿じゃね?」

ニーチェはそう説く。ユダヤ人が迫害されていた時代は仕方ないとしても、産業革命が起きて、資産家となれる可能性が万民に与えられた近代において、この考えは根性なしじゃね?って。

例えば、陰キャが気になる女の子と飲み歩くウェイの姿を見て「あいつは遊んでばっかりで身になることを何もしてねーじゃん。ほんま中身のない人間だわww」と心の中で思うこと。こういうのはただの嫉妬やで。だってお前そう思うだけでその子と話すことすらできないじゃん。と言ってるわけだ。

 

「じゃあお前、どうすりゃええねん!俺たち弱者は強者を馬鹿にすることで精神の安定を得とるんやぞ!支えなくしてどうやって生きればええんや!!」

そう叫ぶ陰キャ、もとい敬虔な信者にニーチェはかく語りき。

「そんなもん、お前が強くなればええんや。強く……強くなりてぇ……ッ!!ってな」

 

以上、ニーチェが著書『ツァラトゥストラはかく語り』で記した「神は死んだ」の解説でした。この続きの話『超人哲学』は次の記事で書きます。