週刊文盲 オタク自省録

オタクのオタクによるオタクのためのブログ

読書記録6 空飛ぶタイヤ

先日インターンが終了した。人生初のまともに最後まで業務を遂行したインターンであり、同時に人生で最も頭を使った五日間であった。詳細は割愛するが、学歴云々ではなく、本当に頭が良い人というのはすごいなぁと、小学生並みの感想を抱いた次第である。彼らと肩を並べて仕事をする時が果たしてくるのだろうかと、ゴミオタクながら滔々と流れる時間に漫然としている自分に呆れ、日々食い倒れている場合ではないと自覚した今日この頃。というか、別にこういった機会がなくとも毎日己に呆れ続けているのであるが。

 

自分語りも程々に、本日紹介するのは池井戸潤『空飛ぶタイヤ』である。友人にお勧めされてAmazonにて購入したが、手付かずのまま数か月が経ってしまっていた。年越しまでには読み切りたい。そう思っていた筆者であるが、予想に反し、一週間で読み切ってしまった。

 

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主人公の赤松は親から受け継いだ小さな運送会社、赤松運送の社長をする中年オヤジである。ある日、運送中にタイヤが吹き飛び、女性を轢き殺してしまう事故が起こる。原因は赤松運送の点検不良との判断。取引先や銀行に見放され、社会的にも経済的にも窮地に立たされた赤松であったが、事故を調べていくうちにその車両を作っている大手重工企業に過失があるのではないかと疑念を抱く。窮地に歯を食いしばり、腐敗した大企業に挑んでいくエンターテイメント小説である。

 

筆者は池井戸潤作品を半沢直樹しか知らない。もちろん数年前に大ヒットしたドラマを視聴したのみであるが、どうもこの人の作品では毎度毎度銀行が悪者にされて可哀そうだなぁというのが読後の感想である。それから後半に一気に形勢逆転をさせたいのか、前半には兎角主人公に悲劇が続く。その分物語終盤のカタルシスは計り知れなかったが、上下巻合わせて800ページを超える大作だというのに、ここまで苦境を延々と描写し続けることができる作家というのはかなり珍しいのではないだろうか。筆者は文盲なので、他の作家について多くを知らないので断言はできないが。

そんなわけで、最後の最後まで苦しい展開が続く当作品であるが、苦境の中に一縷の希望が常にあり、この先状況が一転するのではないかと読み手に思わせ続ける工夫(?)がなされていたため、最後まで一気に読み進めることができた。さながらキャバ嬢である。しかし本作品において、キャバクラをはじめとする夜の街を描いたシーンは登場しなかった。なんて考えてると、キャバクラを描いた物語が読みたくなってきた。おススメがあったら教えてください。

 

過去の栄光に縋り続ける腐敗した社会への風刺作品、のように筆者は感じた。大企業という巨大な組織に対し、個人がどれだけ騒いだところで歯車が止まることはない。しかし小さな力が集まると、いずれ大きなうねりが生じる。あきらめないことが重要である。そんなことを教わった一冊である。

うまい具合に纏めたが、主人公が真っ直ぐすぎていじりようがない作品であった。性根がねじ曲がっている筆者としては、むしろ敵として描かれていた銀行やら上層部の腐敗した連中の方に共感を覚えてしまったというのが本音である。そりゃあ今まで築き上げてきた地位やら利権やらをミジンコみたいな奴にかき乱されちゃたまらんでしょう。筆者だって、底辺飲食店のバイトリーダーをやっていなければ女子高生と話すことができないわけであるし、誰が何と言おうとこの椅子だけは固持したい。固持したすぎて個人事業主登録すらある。

自分の座る椅子はゆるぎないものにしなければならない。もしかしたらそんな教訓も暗示している作品なのかもしれない。多分違うと思う。

読書記録5 最速で身につく世界史

気づけば11月も終わろうとしている。2017年という年をどのように過ごしただろうかと過去を顧みたところ、左程建設的な思い出が見当たらず焦燥感に駆られている今日この頃である。というのも、今年の出来事=当ブログの記事を読み返してみたのだが、昨今の袋菓子レベルで身のない出来事ばかりであった。もはや記事を書いていた時間すらもはかばかしいものに思えてくる。このままでは当ブログごと負のスパイラルに飲み込まれてしまう。袋小路に追い込まれた結果、筆者がとった行動は読書であった。

 

今回紹介するのは『「24のキーワード」でまるわかり!最速で身につく世界史』。高校社会で世界史を選択した筆者の記憶を蘇らせるため拝読した。

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早速レビューに入りたいところだがその前に、本書を読み終わるのに3週間もかかってしまったことをここに懺悔したい。というのも、筆者が浅学菲才であるため、本書のようなムツカチイ本を読む場合、小説と比べて読み進める速度が格段に遅くなるのである。本書は世界史の入門書のようにお手軽なものであるのにこの様である。大学に入学して3年間、どれほどの知識と能力を酒に沈めてきたか痛感させられた一冊であった。

 

さて、本書の内容だが、タイトル通り24のキーワードとともに世界史の全貌を概観していくものになっている。マニアックでニッチな部分に分量を割くことなく、逆に駆け足で味気ない文章を続けるわけでもない。世界史に無頓着な人が読んでも楽しみながら読破することができると思われる。

著者が気になって背表紙を見ると、東大文学部卒の現TBS社員であるらしい。やはりバラエティ番組のような大衆向けのエンターテインメントを制作している人間の文章は、読み手側のことを考えてあって読んでいて苦ではない。作者の手前勝手に出鱈目を書き並べ、作者本位で独りよがりなどこぞのブログとは大違いである。

 

本を読んでいると、かつて学習したはずの懐かしいワードが次々と現れてくるのは心地よかった。易姓革命だのコモンウェルスだの、記憶から欠落した単語を拾い集めて海馬を再構築しようとしたのだが、一つ単語を拾うと一つ落とし、また一つ拾うと一つ落とすことを繰り返していたらしく、読破した後に残った単語は現代史のそれのみであった。記憶を繋ぎとめる努力はした。それだけは認めてほしい。

 

総評すると、初学者にもやさしい入門書といったところか。正直史実が書かれているだけなのでこれといって突っ込みどころがない。世界史に興味がある方は是非どうぞ。

懐古勢ディズニーオフ 後編

ディズニーランドの最寄り駅、舞浜にたどり着いて我々が最初にしたことは酒の入手であった。コンビニで安いジンを購入し、筆者持参の水筒に注ぎ込むことでディズニーランドへの酒気持ち込みを可能にした。良い子は真似してはダメである。

入園したはいいものの、筆者たちは入園料をケチり、午後三時からのみ入園できるスターライトパスでディズニーへの侵入を試みたため、主要なアトラクションのファストパスが既に尽きており、二時間以上の待ち時間の耐久を余儀なくされた。あらかじめ覚悟していたことであったので、そこら辺の出店でディズニーキャラクターの被り物を買い上げ、気分で楽しむ作戦を決行した。なお、溢れんばかりの闇を背負った小二巫女氏はディズニー入園直後に「眩しくて見えねえ」と零しており、園内では影となっていた。それを体現する出来事として、ミニーマウスの被り物を彼が購入してからというもの、ミニーなくして彼を認識することができなくなってしまった(実話)。

 

一つ目のアトラクション、スペースマウンテンの待機時間になおちゃんが遅れてやってきた。彼は言語能力に障害を持つため、しね、ガイジ、アスペ、などの単語でしか思考を表現できなくなることがよくあるのだが、今回はレアキャラというか、ゲスト的役割の佐賀県民がいたこともあり、「お前ほんと気持ち悪いよ」と、主語述語を用いた綺麗な日本語で嫌悪感を表現してくれた。

待機時間は長く、登っていた日が沈むまで続いた。その間、五年間の思い出に浸ったり、酒を飲んだり、男性陣の臀部を愛撫したり、佐賀県民のお土産である海苔を貪ったり、左手をしばき合うゲームで理不尽に左手を傷つけたりした。そうしてようやくやってきたアトラクションの時間。しかしスペースマウンテンは2人1列、1台3列の乗り物である。対して我々は7名。何をどうしてもひとり余りが出てしまう。「ここは多数決で一人で乗る人を決めよう!」筆者の鶴の一声で7人は互いを指さした。6名の指名により筆者が一人で搭乗することとなった。

あくまで民主的な選別であったため文句も言えず、筆者は一人で暗闇の中を疾走し、声を押し殺して夢の国を楽しんだ。途中でこらえきれず叫んだりした。その際、筆者には聞こえなかったが、たこアレが「トイレいきたい!!!」と劈く声で叫んでいたらしい。筆者は一人だったため何も知らない。

 

続いてホーンテッドマンションの列に並ぶ。100分待ちとの表記であったが、明らかに120分以上並んでいたように思う。時刻は午後6時を回り、気温も下がってきた。お互いの手の温度を確認したり、マフラーを奪い合ったり、物まねをさせたり、海苔を食べたりしていた。待ち時間は長かったが、その分皆とおしゃべりができたため、筆者は満足している。印象的だったのは義平氏の職業を筆者がずっとアパレル店員と勘違いしていたことである。しかしあの、あんなエキゾチックで介護士はないだろう。うり変人は何かを「まんげ」と聞き違え喜んでいた。

アトラクションはクリスマス仕様になっていた。筆者は小二巫女と乗ったのだが、疲弊した体に暖かい室温と心地よい揺れが響き、昏睡と覚醒の狭間を彷徨っていた。なお、ホーンテッドマンションは3人乗りであり、2,2,3人で乗り込んだため、今回は誰か一人を犠牲にするような惨劇は起こらなかった。

アトラクションを抜けるとエレクトリカルパレードの最中であった。腹が減ったと豪語する男どもの要請に応えるべく食事処を目指すも、パレードのために道がままならない。やむを得ずパレードを見ていたが、きらめく電飾がなかなか綺麗でこれはこれでよかった。寒空の下、主にたこアレのケツも揉みしだき暖を得ていたところ、うり変人が「男の人の体で一番あったかいのは股間なの?」と無垢な質問をしてきた。なおちゃんは「多分そう」と言っていたが筆者は疑問だったのでなおちゃんのちんこを触って確かめようとしたところ全力で拒否された。仕方なくたこアレの股間で事を済ましたが、こいつはこいつで無抵抗すぎて面白味がない。せっかくスカートを履いていたのだから、レイニーあたりのちんこを揉めばよかったと後悔している所存である。

 

それからカリブの海賊やらスターツアーズやらに乗っていると、なんだかんだで飯を食う前に閉園の時間となったので、記念写真を撮って退散した。東京を知らない佐賀県民のために高級イタリアンレストランサイゼリヤで優雅な晩餐と洒落込もうとしたが、当然に満席であったので大人しく東京駅へ帰った。

「また遊ぼうね!」

「また会おうな!」

口々にそう言い合って、解散とした。Twitterという広大な世界で偶然出会った我々であるが、五年もの歳月を経るとただの数奇な出会いではなく、これからも続く繋がりのようなものを感じる。筆者は「今回のディズニーオフが懐古勢が集まれる最後の機会」と言っていたが、これが最後にならないよう、また何度でも集い語らいふざけ合っていきたい。